【いざ勝負】

今日、東京へ行ってきた。
弁護士に今後の身の振り方を相談するためだ。

複雑繁多なわが胸中。しかし、我が身を思えば、我が家族を思えば、
打って出るしかない状況。

不調を押して、電車に飛び乗った。
乗り慣れぬ電車に揺られて、弁護士事務所に着く前に、よれよれになってしまった。

弁護士との相談は二時間に及んだ。
良き人物だと思った。味方になれると思った。
いや、味方にしなければと話の中で、切に願った。

自分の状況、家族の状況、ありのままに語った。

弁護士の言葉を要約すれば、「退くも地獄、進むも地獄」という感じ。

もしかして、家と土地を売り払わなければならないかもしれぬ、と。

家族をバラバラにして、それぞれが生きていかなければならぬかも、と。

私は私で、持病を申請し、扶助を受けるべきだ、と。

淡々と私は聞いていた。心の葛藤を堪えながら。

二時間という時間は私には過酷な時間だった。

メトロに乗り、再び上野に着き、すぐに電車に飛び帰って来た。

疲れ果てて、口を利く余力すらなかった。
これから始まる難局に、どう立ち向かうか。

まさしく今日は人生の船出であることは間違いない。
舵取りを間違えれば、難破する。転覆するだろう。

しかし―――心も身体も病みきっている私が、財も信用も失った私が、
この難局を打ち破って、
勝利のドラマを演じきってみせたら―――同じ悩みに苦しむ数多の人達に、どれほどの勇気を与えられるだろうか。

まず、私が勝利の突破口を開いてみせよう。
いいかい、よく見ておいて頂きたい。

人は目先ではわからぬ。どんな身におかれようとも、心は王者でいくのだ。

人は恨むまい。恨めば恨んだだけ、己がみじめになるだけだ。
人を羨むまい。そんな女々しい私ではない。そんな軟弱な私ではない。

今は、現実を受け止めて、淡々となすべきことをなすまでよ。

「先生、私は必ず勝ちます。『妙とは蘇生の義なり』今こそ実証を示してまいります」

体調の波はある。身体もままならぬ。
しかし―――心は負けてなるものか。
心は病んでも、負けてはいない。否、負けるものか。

今さらじたばたしても意味がない。
どうなろうとも、私は負けない。
勝つと決めたから、勝つのだ。
わが人生に勝つのだ。
生きて生きて、生き抜くのだ。

わが恩師なら、そう言うだろう。泰然と進むのみと。

10年後、20年後、30年後―――人生は長いスパンで見なければ、わからない。
目先にとらわれず、じっくりと腰を据えて戦うのだ。

今日の弁護士、キレ者と見た。動いて動いて動かせてみせよう。

さあ、一念を切り替えて、人生をひっくり返す時が来た。
ピンチは千載一遇のチャンス。このチャンスは絶対に逃さない。

われらの「負けじ魂」を満天下に見せつけようではないか。
「絶対勝利」の道を進む我らに、恐れるものなどない。
仏法は勝負なりせば、臆することはなし。

心は王者。心こそ王者。―――とことん、やってやろうではないか。
大いに戦い、思う存分、大胆にやってやろうではないか。
それが、池田門下の心意気よ。