【正義の安売り】
今日はY氏からメールが来た。
妙な勘が働いて、「これは探りだな」と感じた。
その勘が当たっているかどうかは別として、Y氏は不穏な動きを察知しているのは確か。
Y氏に斬り込んだO氏は、やりとりのログを保存して、そのままO代表の連絡先にポストしたとの事。
「あとは自浄能力に任せる」と書いてあった。
○○党に自浄作用があるかどうかは別として、Y氏のログは党幹部の知るところとなるだろう。
権力は魔性だ。
自ら「権力は魔性だ」と言っていたが―――。
ネットは使い方に依っては、魔物になるのだ。
自分自身の奥底にある一念が出る。
その文字は武器になるのだ。
ネットでのレスポンスを勘違いして、自分自身が肥大化していく。
ただでさえ、「自分は戦っている」と思い込んでいるから、余計に足元が見えなくなる。
口に本門を唱え、心で迹門を抱く――――。
地道に頑張る人だと信じていた。
弱者を守り抜く人だと尊敬もしていた。
しかし―――。
私も彼も、リアルの現場でお互いを知っている。
一方ならぬ世話にもなった。彼にとっては厄介な仕事だったろう。
だから、私も遠慮がちになっていった。恐縮することも多々あった。
結果、それが仇となった。これに天魔がつけこんだ。
彼は声高に「正義」を叫ぶ。
しかし、現実は―――――。
ブラウザに映る彼と、リアルな彼は、余りにも開きがあるような気がしてならぬ。
いつか、必ず、私は彼と対峙する時が来るかも知れない。
それは十年後か、二十年後か、それとも来年なのか、今年なのか、それはわからない。
私心を捨てて、彼に忠告できるのは私だと思っている。
彼は根は悪人ではない。
しかし、肩書きで仕事をする事を覚えてしまった。
自分は清廉潔白だと信じている。
それは幻想だ。
周りの人間の質が悪すぎるだけなのだ。
地域のためにと奮闘する姿は、実は「大きな実績を残しておきたい」という一念からくるものだとしたら―――。
私の推測は決して当たっているとは言い切れない。
しかし、ネットでの彼の言動を見、リアルでの彼の姿勢を見ていると、
どうしても、疑念が沸いてくる。
私は、今回の件に関しても、多方面に相談するだろう。
わかっていたことだが、至極残念に思う。
そんな薄っぺらな正義をブラウザで振り回しても、それは自己を正当化し美化している姿に過ぎない。
正義の安売りは御免だ。師の顔に泥を塗るのであれば―――。
私は容赦なく、叩き潰すだろう。