【伊達政宗の魅力】

独眼竜政宗―――言うまでもなく、有名な北の覇者である。

今日はさらっとだが、政宗の生き方に触れた書籍を手に取った。


武将の辞世の句は一様にして、苦渋と諦めと悔しさが滲み出るもの。

ところが政宗だけは違ったという。


政宗は根っからのポジティブ人間だった。

幼い頃、病によって隻眼になり、顔にあばたがいくつもあったという。

実際、政宗は思春期までは塞ぎ込む事が多く、顔のコンプレックスに悩んでいたと。


ところが、どういうわけか、ある時期に入り、誰もが一目置くような豪胆な男になっていった。


関白秀吉の前で隻眼の事を尋ねられると、こう言ってのけた。

「幼き頃、転びまして顔を打ち、目玉が飛び出してしまいました。あんまり美味そうなので、ペロリと食べてしまった次第にてございます」

さしもの天下人秀吉も、政宗の応えに、あっけにとられ、苦笑いしたという。


このエピソードを読んで、私の政宗観が変わった。

私は今まで政宗という戦国大名は、野心ばかりをギラギラさせて、伊達男を気取った「いけ好かないヤツ」と思っていたが、
結構な肝の据わったいい男ではないか。


私の好きな直江兼続は、皆の前で大判を見せびらかす政宗を、小馬鹿にしたと聞いていたから、
そんな大した男でもないのだろうと思っていた。

もちろん、史実は知らないが。

何せ兼続は、家康にも真っ正面から喧嘩を売ったり、挙げ句の果てには、閻魔大王にまで書状を出すような恐れを知らぬ男だから、
それに比べれば、多少見劣りはするものの、独眼竜政宗もなかなかの男だったのだろう。


辞世の句まで前向きな詞を遺す政宗
「一旦は死ぬけど、また戻ってくるわい!」とでもいいたかったのだろう。

私は、こういう明るい男は好きだ。

独眼竜政宗
己のコンプレックスを個性に切り返して、北の覇者となった武将。
また魅力的な戦国武将に会えたような気がして、私は嬉しかった。