【ぎりぎりの決心】

いよいよ天地人の「御舘の乱」が佳境に入ってきた。

今日の天地人の中で、印象として残ったシーンは、
やはり兼続が武田軍に乗り込み、高坂弾正昌信に直談判する場面だ。

いつでも斬り掛かれるよう取り囲む武田の兵を前に、青ざめる泉沢と与七に、兼続が落ち着き払って、
開き直ったように言い放つ。

「生中に生なく、死中に生ありじゃ。御屋形様がよく仰せられた…死んだ気にならねば、何事もなしえぬ…殺されるなら、それはそれ」

脚本とはいえ、何とも潔く、清い言葉だろうか。

老醜の家臣どもが、見栄や体裁、大義名分に執着し、狼狽する姿が滑稽に見えた。

兼続が池田先生に見えた。

一人、命を投げ出して、上杉と越後を護るため、戦ってきた兼続。
非難中傷の嵐の中で、馬鹿にされながらも、謙信の教えを護ったのは兼続しかいなかった。

敵をも味方に変えたのは、義経だけではなかったのだ。

「ぎりぎりの決心」
本当に七転八倒し悩みに悩み抜いた経験がなければ、言えぬ言葉なのだ。

印象深いシーンは、あと二、三、あったが、頭が回らなくなってきたので、このあたりで止めておく。

敵陣に乗り込み、敵からも称賛されるような、颯爽とした人物になってみたいものだ。

池田先生はあの兼続の何千倍もの迫力だったのだろう。

私は余りにも師匠が偉大過ぎて、そのスケールが想像出来ないでいる不肖の末弟子だ。