【壬生義士伝】

浅田次郎の「壬生義士伝」を読み始める。

今日は体調が悪かった。
連日のローン会社からの督促の電話に辟易している。

いや、一種の恐怖を感じる。

目をつぶって、これからの為さねばならぬ事を考える。

苦痛だ。

しかし、こうなったのは私自身の責任。
対処法を探す事が先決。


壬生義士伝」の主人公は、誠実な男が貧苦に喘ぐ家族を守るため、南部会津藩を脱藩し、京に上り、新撰組へと入隊する。


家族を貧困から救うため、数えきれないほどの人を斬った。
手柄を挙げれば、褒美が出る。
男は自らは金を持たず、褒美が出れば、そのまま家族に仕送りした。

そんな彼を「みっともない」「侍にあるまじき姿」「守銭奴」と皆、軽蔑する。

しかし、彼は必死だった。
命懸けで稼いだ金を仕送りして、家族がひもじい思いをさせない事――それだけが、彼の幸福を感じる時だった。

新撰組である前に、彼は夫であり、父親であり、人間だった。

新撰組で最強と謳われながら、彼は家族の幸せを一番に考える、心優しき男だった。

彼もまた、戦争の犠牲者だったのだ。

鳥羽の戦いで無数の傷を負い、瀕死の姿で、元の南部会津藩へと戻る。

わが妻に会いたい、わが子らに会いたい、まだ見ぬ赤子をこの手に抱いてあげたい。

その一心で彼は、脱藩した国下へと帰る。

しかし、時流が変わっていた。
脱藩の罪も重い。
新撰組は賊となっていた。

彼の命懸けの懇願は受け容れられるはずもなく、切腹を命じられる―――。


家族の幸せを願い、ただひたすらに生きた。

今の世では、我が子を殺す親もいる。
家庭を顧みる事もなく、妻子を苦しめる夫もいる。


彼の生き方は、ごくごく普通の、人間として当たり前の生き方だったのではないか。

優しく、どこまでも優しい男の悲しい物語。

涙なくしては読めなかった。

こんな人生ではいけない。
優しく誠実な人が死んではいけない。


金で泣く人生ではいけない。
金に溺れてもいけない。

何度も云う。
金に泣いているような人生ではいけないのだ。

生活苦は悲劇を生む。
お金がなくても、幸せなんて戯言だ。

今だからこそ、裕福にならなければいけない。

心の王者たるもの、金が無くて泣いているなどという悲劇があってはならない。