【私はもう泣きませぬぞ】
最愛の母・お藤が逝去し、悲しみに暮れる兼継の前に
紅映える美しい紅葉がはらはらと落ちていく。
ふと目を向けると、紅葉の向こうにお藤が立っている。
また幼き与六に「紅葉の教え」を説きながら、「越後のような家臣になれ」と告げる。
兼継は澄んだ眼でその言葉を思い返していた。
気がつくと、お船が傍らに。
お船に兼継は言う。
「お船殿、もう私は泣きませぬぞ」
私も同じ心境だ。
大の男が泣いている場合ではない。
例え今が最低の境遇であろうと、不運を絵に書いたような境遇であろうと、私はもう泣かない。
私らしく、爽やかにこの一生を送ろう。
師の心をわが心として。
それが、わが「義」なのだ。
私は一人立てばいい。
戦に感傷は無用。
感傷は私を助けてはくれぬ。
命を広宣流布のために使おう。
愚鈍の議員、事なかれ主義の幹部。
それらを向こうに回し、戦うのだ。
土下座をさせる思いで、戦う。
私はもう泣かない。
反転攻勢。
もう一度、陣を張り直し、反撃だ。
心弱き民のため、時に鬼にもなろう。
すべては広宣流布のため。